言葉なき者との意思疎通。観察と共感のみが平穏をもたらす。
私の父はパーキンソン病である。
最近、殆ど話さなくなってしまい、
意思疎通が難しくなってしまっている。
普段は母が介護をしているが、
やはり自分の生活もあり、
父の気持ちを慮るでもなく、
ただ、起こし、
飯を食わせて、
服を着替えさせ、
下の世話もして、
風呂に入れ、
寝かせるのである。
なかなか母の思い通りにならないときには
介護疲れもあるのだろうが
母も癇癪を起こすのである。
私はそのような場面に出くわしたときに、
父を観察する。
彼が今、何を考え、何を欲しているのか。
言葉が自由に操られるなら。
今なんと言いたいのか。
私はエスパーではないので、
心の中を読み取ることは出来ない。
しかし、観察や共感力を総動員することで
本人になりきり、
今どのような気持ちで
何を欲しているのかを推測するのだ。
私は帰省で帰ってきて、
介護疲れもしていない。
じっくりと時間をかけて
父に向き合うことができるのだ。
せめてテレビを消して、
ゆっくりで良いので
父と話をしてみようと思う。
台風が近づいているという。
たまの休み、
出かけることも無いので、
少しでも父の病気の進行を和らげ、
母には休息と、今後の介護が楽になるための
ヒントを与えられればと思う。
少なくとも、
精神的に平安で居られるように
私が行動しなければならない。