バッティングセンターは楽しく運動できる場所
最近、バッティングセンターにはまっている。
中々運動ができないので、楽しく体を動かす方法を考えた結果行き着いたのがバッティングセンターだ。思い起こせば、私は昔、日が暮れるまで野球の真似事をしていた。壁に向かってボールを投げたり、友達とプラスチックのバットとゴムボールで野球を楽しんでいた。
しかしある日突然終わりが訪れる。
リトルリーグに所属している、本気で野球をやっている奴らとの体力の違いを目の当たりにして、自分のやっていることが何と虚しいことかと、急に熱が冷めていった。
ときは流れ、私は大学生になっていた。中学高校と野球ではなく他のスポーツに打ち込んで、大学ではのほほんと文化部に入っていたのだ。
そんなある日のこと。大学で行われたゼミ対抗草野球大会で転機が訪れる。スポーツ万能の友人たち(内部進学の人たちは文武両道のスーパーマンばかり!)に混じって参加したので、余り活躍できないかな、、、と残念な気持ちになっていたのだが、ランナー一塁で迎えた私の打席、私は初球のゆるーいカーブをタイミング良く捉えることができた。打球はすぐに見えなくなり、ホームランとなった。そしてプロを何人も出している野球部にいたという友人からバッティングを絶賛されたのだ。結果を、ではない。バッティングの技術をである。
その時点で私は自分が野球を出来るとは思っていなかった。昔遊びでよくやったなあ、、、という程度だったのに、フォームからパワーから絶賛されてしまったので具合が悪い。
運動から離れていたこともあり、本気で打ち込むことはなかったが、しばらくの間、絶賛の声が忘れられずバッティングセンターに入り浸った。
社会人になり次第に行かなくなっていたのだが、太ってきたことを期に何か運動を始めないといけないと思い、またバッティングセンターに帰ってきたのだ。
その日は仕事帰りの若い男女4人の間を通り、80キロのゲージに入る。速球は苦手だ。当たらない。ゆっくりの球なら当てることができる。そして当たれば飛ぶ。
肩慣らしに1球目、2球目を軽くミートする。3球目、よく体を引いてから、ワキを締め、腰の回転を使いながらボールに向かっていき、体の少し前でガッチリ捉えた。
次の瞬間には打球はホームランの網のすぐ上にぶつかっていた。残念ながらホームランにはならなかったようで、音も光も出ず残念な思いをした。
しかし、しかしである。大学時代の感動が今蘇る。
私がさっき通り抜けて来た4人が、コソコソ話しているのが聴こえるのである。(えー!あの人スゴーイ!え?今のホームランじゃないの?)。
その後もホームラン性の当たりを何発かぶちかまして、そそくさとゲージをあとにした。
心の中は心地よい疲れとヒソヒソ話にニンマリで、とても良い気分だ。
悪くない。
当面このミニマムな幸せを味わいに通うことになるだろう。